当科の特徴
2型糖尿病を中心に(1型含む)、急性期の糖尿病入院治療から、糖尿病教育入院、手術時の血糖コントロール、慢性期糖尿病外来診療まで幅広く行なっております。
肥満、高齢化の現代において、糖尿病の患者さんは非常に増えてきています。発症年齢が若年であるほど、血糖コントロール、糖尿病合併症予防が重要になります。
糖尿病をよく理解し、食事療法や運動療法もしっかり行うことが病状の安定・改善につながります。当院では糖尿病教室(※)を行い、良好な血糖コントロールを得るための方法をお伝えしています(※現在は対面での開催は休止中)。
▲ 内科医長 小池 雄太
下肢救済・フットケアセンター 小池 雄太 Koike Yuta 初めまして。2017年11月より荻窪病院 内科へ入職させていただきました小池 雄太と申します。医師紹介
1999年
大阪医科大学医学部 卒業
1999年
京都大学医学部附属病院 内科研修医
2000年
静岡市立静岡病院 内科研修医
2002年
洛和会音羽病院 代謝内分泌科 医員
2004年
京都大学医学部附属病院 内分泌・代謝内科 医員
2005年
海老名総合病院・糖尿病センター 医員
2008年
JCHO東京鎌田医療センター健康管理センター 医長、内科外来、嘱託産業医
2016年
啓仁会新宿野村ビルクリニック 内科 院長、嘱託産業医
2017年
医療法人財団南葛医協 扇橋診療所 副所長、内科、在宅往診
メッセージMessage
これまで糖尿病をはじめ、生活習慣病の予防・治療を念頭に行って参りました。少子・高齢化が進む一方、疾病は複合的になって参りました。日々の日常臨床において、患者様への細かい問診・診察を行って参りたいと思います。
- 当科の注力疾患
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- 2型糖尿病/1型糖尿病
- 肥満症
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 高尿酸血症
糖尿病について
糖尿病について
現在日本では、20歳以上の4人に1人が糖尿病あるいはその予備軍といわれています。
糖尿病は自覚症状がほとんどなく、つい放置してしまいたくなりますが、きちんと治療をしないと、さまざまな合併症を引き起こす病気です。
糖尿病は完治することはありません。糖尿病を理解し上手に糖尿病とつきあっていきましょう。
1.糖尿病とは
人間が生きていくためのエネルギー源として血液中にブドウ糖(血糖)が存在します。血液の流れに乗ってからだの細胞に運ばれて、筋肉や臓器で使われます。細胞がブドウ糖を細胞内に取り入れて利用するためには、膵臓で作られるインスリンというホルモンの手助けが必要です。このインスリンの量が減ったり、はたらきが悪くなると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込めなくなり、血液中にブドウ糖があふれている状態(高血糖)になります。それが「糖尿病」です。
■健常人および2型糖尿病における血糖値とインスリン分泌動態
2.糖尿病の種類
1型糖尿病:インスリンが膵臓でほとんどつくられなくなり、インスリン注射が必要となります。子供や若い人に多くみられますが、大人や高齢者にもおこる場合があります。
2型糖尿病:日本人の大人の糖尿病患者の95%がこのタイプです。インスリンの量が少なかったり、効きにくい状態となるために起こります。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多いです。最近は生活習慣の変化によって、小児の患者も多くなってきています。必ずしもインスリン注射を必要としません。
二次性糖尿病:遺伝子の異常や他の病気が原因でおきるものや妊娠糖尿病などがあります。
3.血糖コントロールの指標について
以下の検査値から状態を判断します。
HbA1c
過去1~2ヵ月の血糖値の平均を表す指標です。
正常値:4.6~6.2%
*7.0%を超えると各種合併症が進行すると言われています。
*貧血があると正しい値が出ないこともあります。
空腹時血糖
110mg/dl以下正常
グリコアルブミン
11~16% 過去2週間の平均血糖値を反映する指標
*貧血の影響を受けにくいと言われています。
4.糖尿病の合併症
血糖値の高い状態が続くと血管がもろくなり、様々な合併症を引き起こします。
特に多い合併症について説明します。
【糖尿病網膜症】
目の網膜の細い血管に障害が起こり、進行すると失明に至ります。かなり悪くならないと自覚症状がでないため、糖尿病とわかったら眼科を受診しましょう。そしてその後も定期的に検査をしてもらいましょう。
【糖尿病腎症】
腎臓の細い血管が障害を受け、体の中の老廃物をろ過する機能が低下してしまいます。自覚症状がほとんどないため、蛋白尿や「むくみ」などの症状が出てきた場合はかなり進行しています。さらに進むと腎不全になり透析が必要となります。現在日本の年間透析導入患者の原因疾患の第1位は糖尿病です。
早期発見には「微量アルブミン尿検査」というものがあります。年に1回はこの検査を受けるようにしましょう。
【糖尿病神経障害】
細い血管の血流が悪くなり、神経の細胞まで血液がいきわたらず手足の神経に障害がでます。主な症状は、手足の先のしびれ、痛み、こむら返り、足が冷たい、足底に紙が1枚張り付いているような感じ、熱さ・冷たさが鈍感になる、などです。
痛いとか熱いといった感覚が鈍くなり、けがや低温やけどに気付かず潰瘍や壊疽におちいり足切断にいたることもあります。糖尿病になったら、普段からの足の様子をチェックすることがとても大事になってきます。
<フットケア>
・毎日足のチェックをしましょう。
・爪を切る時は気をつけましょう。深爪してバイ菌が入ってしまい、潰瘍ができ、足を切断しなければいけなくなるケースもあります。
・素足は避けましょう。
・足に合った靴を選びましょう(靴ズレから壊死を起こすことがあります)。
・入浴の際は、湯加減を確認してから入りましょう。
・病院では、振動覚検査・知覚検査・アキレス腱反射・振動覚検査をやっています。1
年に1回は受けるようにしましょう。
自律神経の障害もでてきます。立ちくらみ、便秘や下痢をくり返す、発汗異常、排尿障害、勃起障害など全身にわたる症状がでてきます。
【大血管障害】
近年問題となっているのが、大血管障害です。糖尿病は動脈硬化を加速させ、太い血管がつまりやすくなります。脳梗塞・心筋梗塞・狭心症・閉塞性動脈硬化(足の血管に起こる動脈硬化)などを招きます。
5.糖尿病の治療
糖尿病の治療は食事療法・運動療法が基本です。
食事療法・運動療法でも血糖コントロールが悪い時は薬物療法を加えます。ですので、薬だけ飲んでいれば、インスリンさえ打っていればいいわけではありません。きちんとた知識をもって治療にのぞみましょう。
6.生活上の注意
・低血糖に注意しましょう
インスリンや飲み薬によっては、低血糖がおきることがあります。
血糖が下がりすぎると、異常な空腹感、冷や汗、動悸、無気力、手の震えなどの症状がみられます。ひどくなると、意識消失となります。このような症状がみられたらブドウ糖を服用してください。
15分して症状が改善されない場合はもう1回ブドウ糖を服用してください。低血糖は食事前におこりやすいので、ブドウ糖を服用したら食事をしてください。手元にブドウ糖がない時は甘い缶コーヒーやジュースでもいいですが、ブドウ糖に比べて吸収が遅くなります。
血糖測定器が手元にある時は血糖を計ってください。
・シックデイ(体調の悪い日の注意点)
かぜなどで、発熱・嘔気・嘔吐・下痢・食欲不振で食事ができない場合をシックデイといいます。
体調を崩すとインスリンの分泌や働きも一時的に低下するので、インスリン不足により血糖が高くなります。また、発熱・下痢・食欲不振が続くと脱水になり血糖が上がります。このような状態が続くと病気が重症化し死に至ることもあります。
対応としては
①安静と保温
②なるべく食べ物、飲み物を口にする(少しずつで可)
食事ができない時:スープ、味噌汁、ジュース類、水分
少しでも食べれる時:消化の良いもの、お粥・ヨーグルト・重湯・アイスなど
③早めに受診する
すぐに受診できない時は電話相談(※インスリンや内服は主治医の指示を仰ぐ)
糖尿病は血糖コントロールをきちんとおこなえば合併症の進行を遅らせることができます。日々の生活のなかで「もうやだ」と思う時があるかもしれません。続けるというのは大変なことで、自己中断はとても危険です。嫌になったり、不安な時は遠慮なくわたしたちに相談してください。
糖尿病と感染管理
昨今の新規感染症の流行により、院内感染、クラスター予防の観点から、糖尿病内科も細心の注意を払っております。糖尿病は非常に感染リスクの高い基礎疾患であり、新型コロナワクチン接種を推奨しております。
感染防止の観点から、引き続き糖尿病教室の中止、長期処方、適宜、外来インスリン・GLP-1導入をおこなっています。また従来、糖尿病教育入院中に行っていた蓄尿検査なども、十分な感染管理を実施しながら、行っております。