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リハビリテーション室ブログ【2020年度】

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2021年3月25日訪問リハビリテーション室、開設しました

こんにちは。リハビリテーション室です。

当院では2021年1月に 訪問リハビリテーション室を開設いたしました!!

コロナウイルスの影響が長引き、外出自粛などにより“フレイル”(くわしくは過去のブログをご参照ください)に陥っていないでしょうか?

特に介護保険を使用してリハビリやデイケアに通っていらっしゃる方は、
「定期的に通わないと体力が落ちちゃう」
「でも、密になるのが心配」
といったジレンマを抱えている方もいらっしゃると思います。

そこで、ご自宅でリハビリが可能な「訪問リハビリテーション」について、ご紹介させていただきます。

「訪問リハビリテーション」とは、介護保険を使って、ご自宅にセラピストが訪問しリハビリテーションを行うサービスになります。

対象となる方
  • 介護保険加入者(要支援、要介護) または 申請中の方
  • 当院より半径2km圏内(※1)にお住まいの方
主な内容
  • 身体機能(筋力、関節可動域、バランス能力 など)の維持・向上
  • 歩行練習
  • 自宅内の日常生活動作の練習
  • 福祉用具の相談、選定

などです。

依頼までのながれ

ご興味がある方はまず担当のケアマネジャーにご相談ください(利用者様から直接ご依頼をいただくことはできませんので、ご注意願います)。

フレイル予防に訪問リハビリテーション室をご活用いただければ幸いです。
以上、リハビリテーション室でした。

※1 (訪問範囲に関してはご相談ください)
≪杉並区≫
天沼、井草、今川、上井草、上荻、清水、下井草、松庵、善福寺、西荻北、西荻南、本天沼、南荻窪、桃井
≪練馬区≫
上石神井1.2丁目、上石神井南町、下石神井1.2.4.5丁目、関町南1.2丁目

2021年2月22日なんと! これがリハビリに?

こんにちは。リハビリテーション室の助手です。
上の写真を見て、皆さんは何を想像しますか?
実は、これら全てリハビリで使用している道具なんです。
身近にある遊び道具が、運動機能の改善や、脳を活性化することにつながるなんて、ちょっと驚きですよね。

今回は、写真の道具をどんなリハビリに使用しているか、助手の視点から簡単にご紹介します。

キラキラな曲者ビー玉~足指で挟んで足の感覚&筋力向上~

足の筋肉の柔軟性や筋力がないと、バランスを崩しやすくなったり、転びやすくなり、他の関節への負担が増え、足の関節はもちろん他の関節を痛めたり、変形を起こすなど様々な影響を及ぼします。
ビー玉を足の指や腹で挟む動作をすることで、足の筋力や感覚の向上が期待できます。

そんな曲者を使用しているのは、
運動のスペシャリスト! 理学療法士(PT:Physical Therapist)

病気やケガ、障害や加齢による運動能力低下に対してリハビリを行います。
起きる、立つ、歩くなど身体を動かすための基本的な動作の練習や、温熱療法や電気による治療などの物理的手段で運動機能の維持・改善を図るよう指導します。

縁日の主役 輪投げ~的を狙って頭と体を活性化しましょう~

座位や立位を保ちながら、前にあるポールに手を伸ばして輪を入れる動作は、遠くへ手を伸ばすリーチ動作、座位や立位バランス、手指の把持機能の改善につながります。
また、高齢の方に子どもの頃にやった遊びをしてもらうことは過去の記憶を呼び起こすことにつながり、脳が活性化して認知症などの予防効果も期待することができます。

そんな主役を支えているのは、
巧緻運動のスペシャリスト! 作業療法士(OT:Occupational Therapist)

日常生活動作能力、応用動作能力、社会的適応能力の回復や改善を目的に、日常生活の作業を通してリハビリを行います。
食事や家事、入浴や着替え等、日常生活においての手指を使った細かな巧緻(こうち)動作がリハビリになるため、病気やケガによる障害や不自由を抱えた人が、その人らしく自立して生活できるように、生活環境を踏まえながら指導していきます。
身体機能だけでなく精神面のケア、脳血管障害の方もサポートする職種です。

隠れた実力者 吹き戻し(巻き笛)~ピロピロ吹いて自分の力を伸ばしましょう~

加齢とともに低下する呼吸力、嚥下力。嚥下機能の低下は誤嚥性肺炎を発症しやすくなり、命の危険を伴います。
吹き戻しを吹くことで、口腔器官の状態を測定できたり、腹式呼吸や口元の筋肉をつける訓練にもなります。高齢の方でも、楽しみながら簡単に行うことができます。

そんな隠れた実力者を自在に操る、
言葉と嚥下のスペシャリスト! 言語聴覚士(ST:Speech Therapist)

生きていくうえで必要不可欠である話すことや聞くこと、食べることに障害のある患者さんの機能の維持・向上を図るためリハビリを行います。
失語症、脳梗塞などでうまく言葉がつかえない方の気持ちを汲み取り、文字や絵を使っての訓練、発声や音読練習を行ったり、食事がうまく取れない方に対し、飲み込み訓練、姿勢・食事形態などの指導をしたりします。

リハビリというと、骨折した人や事故にあった人が、専門的な器械を使って行うものという印象が強いと思いますが、職種によって対象としている患者さんが様々であり、遊びのように思えることも、リハビリの効果が期待できるものがたくさんあります。

道具に限らず、普段何気なくやっていることが、自分自身の身体機能の低下を防ぐことにつながっていることもあります。
リハビリってなんだか敷居が高い、自分とは縁がないものと思っている方に、「リハビリって奥が深い!」「こんな動作がリハビリにつながるんだ!」と、少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。

※リハビリは、医師の指示の下、それぞれの患者さんの疾患、状態に合わせた訓練を行っております。
今回紹介している道具でのリハビリは、あくまでも訓練の1つであり、これが全てではありませんので、ご理解の程お願いします。

2021年1月29日嚥下機能の低下が招く誤嚥性肺炎~誤嚥性肺炎を予防しよう~

こんにちは! 言語聴覚士(ST:Speech Therapist)チームです!
当院では摂食嚥下(せっしょくえんげ)リハビリテーションを中心としたリハビリを実施しています。
内容としては、病気や加齢により嚥下機能(食べ物や飲み物を飲み込む機能)が低下している患者さんに対して、再び安全に食事をとれるように食事の形態、姿勢、介助方法などの検討をしています。
今回はSTの関わる疾患で特に多い誤嚥性肺炎の予防についてお話ししたいと思います。

◆誤嚥性肺炎について

誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や食べ物などと一緒に気管支や肺に入って発症する肺炎です。通常、唾液や食べ物は口腔から食道を通り胃へ送り込まれます。しかし嚥下機能が低下すると、唾液や食べ物が誤って気管に入ってしまいます。その際に、口腔内の細菌が気管に入り込むことで誤嚥性肺炎を発症します。特に脳梗塞などの脳血管疾患や加齢により嚥下機能が低下した方は、誤嚥性肺炎を引き起こしやすいです。

◆嚥下機能は大丈夫?

それでは、嚥下機能低下の徴候があるかを確認してみましょう。
当院に入院される誤嚥性肺炎の患者さんに、よく見受けられる嚥下機能低下の症状をまとめてみました。
10項目のうち1項目でも当てはまる方は、嚥下機能が低下している可能性があります。

  1. 最近食欲がない、やせてきた
  2. ものが飲みにくいと感じることがある
  3. 食事中にむせることがある
  4. 食事中・食後にのどがゴロゴロすることがある
  5. のどに食べ物が残る感じがする
  6. 食べるのが遅くなった
  7. 口の中に食べ物が残ることがある
  8. 胸に食べ物が残ったり、詰まったりする感じがある
  9. 夜、咳で寝られない、目覚めることがある
  10. 声がかすれてきた

1項目でも当てはまるものはありましたか?
特に赤字の項目に当てはまる方は、嚥下機能の低下から誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
嚥下機能の低下を予防するために、自主的に取り組めるトレーニングをご紹介します(図1)。

図1 食べる前の準備運動

頭部から頸部の筋肉の柔軟性、口腔内(頬、口周り、舌)の筋力を維持することが嚥下機能低下予防につながります。

継続する事で嚥下機能の低下を防いでいきましょう。
ぜひお試しください。

◆介護が必要な人の予防策

介護が必要な人には、口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防策として大きな役割を果たしています。
うがいが可能な場合には、洗口液でうがいを行い食前から口腔内の衛生状態をよくしましょう。
できない場合には介護者が定期的に時間を決めて口腔内の汚染がないか確認し、必要であればガーゼ・スポンジブラシ等の口腔ケア用品を用いて汚染を取るなどのケアの方法が効果的です(図2.3)。
また、可能であれば定期的にかかりつけの歯科医へ歯科往診を依頼するのも口腔衛生を保つためには有効です。

図2 口腔ケアで使用する用品

図3 うがいが困難な場合の口腔ケア方法

口腔内の衛生が保たれることによって虫歯、歯周病、誤嚥性肺炎の予防だけでなく、認知症のリスク低減につながることが最近の研究で言われています。
きれいな口でおいしく食事をすることで誤嚥性肺炎にならない体づくりをしていきましょう。

2020年12月25日冬場の運動の注意点~心疾患をお持ちの方へ~

こんにちは。心臓リハビリテーションチームです。
寒い日が増えてきましたね。皆さま、体調を崩さずにお過ごしでしょうか。

心臓病患者さんは、退院後もウォーキング等の適度な運動を継続することで、体力の回復、精神的負担の軽減、心臓病の再発予防につながり、生活の質の改善が期待できるとされています。そのため普段から運動を心がけている方も多いと思いますが、寒い時期に運動する際にはいくつかの注意点があります。

今回は、当院が心臓病患者さんにお伝えしている、これからの寒い時期にも安全に運動を継続していただくためのポイントをご紹介したいと思います。

【冬場の注意点について】
  • 暖かい室内から気温の低い屋外に出る時等、急な気温の変化が血管を収縮させ、血圧を上昇させたり狭心症*1の発作を引き起こす可能性があります。
  • 心不全*2をお持ちの方は、血圧の上昇や、風邪をひいたりすることが症状の増悪につながる事があります。
  • 寒さの厳しい時や天候が不良な時には無理に屋外で運動せずに、屋内でできる運動を取り入れましょう。また、屋外で運動する際には手袋、帽子、マフラー等の防寒着を着用しましょう。

*1 狭心症:心臓を栄養している冠動脈が狭くなり、冠動脈を流れる血流量が減ってしまうことで心臓の筋肉に酸素や栄養が行きわたらなくなり、胸がしめつけられるような苦しさを引き起こします。
*2 心不全:何らかの原因によって心臓のポンプ機能が低下してしまい、全身に血液を十分に送り出せなくなります。そのため、諸臓器に異常が起こり、浮腫み、息切れ、呼吸困難、だるさ、食欲低下等の症状を来してしまう病態です。

【冬に運動を行う時の注意点】
  1. 運動の時間
    血圧には日内変動があり、昼間活動時に上昇し夜間睡眠時に低下します。起床時は自律神経の変化のため血圧が不安定になり、起床とともに血圧が上昇しやすくなります。
    起床後すぐの運動は避け、出勤や散歩までは1時間程度ゆとりをとり行動するとよいでしょう。
    また、屋外で運動する際は、昼間の暖かい時間に行い、寒さの厳しい時間帯は避けるようにしましょう。
  2. 運動の様式
    ウォーキングやスイミング等の有酸素運動は、運動中の血圧変動が少なく、安全で効果的です。逆に重量物を持ち上げたりする力む運動や瞬発的に走る運動は、急な血圧や脈拍の上昇を来しやすく心臓への負担が強いので注意しましょう。
  3. ウォーミングアップ(準備運動)をする
    ウォーミングアップをして徐々に負荷をかけていくことで、血圧や脈拍の変化が緩徐となり、心臓への負担が軽減します。また、体温が上昇することで、筋肉や関節も動かしやすくなります。
  4. 水分補給
    汗をかいたり、脱水になると血液が濃くなり、血栓ができやすくなります(血圧や血流の変動で心筋梗塞、脳梗塞等の脳疾患を引き起こさないようにしましょう)。
    寒い時やたくさん汗をかかない時でも十分な水分補給をするようにしましょう。
  5. 感染対策
    心不全をお持ちの方は風邪等を契機に心不全が悪化することがあります。日頃からマスク・うがい・手洗いなどの感染対策に努めましょう。

これから一層寒くなる時期ですが、体調管理をしながらぜひ運動を継続していきましょう。

心臓病で当院へ入院されていた方へ

当院では、心筋梗塞、心不全、心臓手術等で入院加療をされていた方に外来通院での心臓リハビリテーション(以下心リハ)実施しています。
退院後、どの程度運動すればよいのか、どのように生活したらよいのか不安に感じる方もいると思います。
外来通院での心リハでは運動指導に合わせ、食事・生活のアドバイスも行っております。
リハビリ開始には主治医からの指示が必要ですので、まずは通院時に主治医にご相談ください。

▲ 外来心リハで使用している健康管理手帳

▲ 当院の心リハスペースの様子

以上、「冬場の運動の注意点~心疾患をお持ちの方へ~」でした。
ありがとうございました。

2020年11月30日外出自粛で陥りやすい?「フレイル」を防ぐ

こんにちは。
今年は新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が長くなっているのではないでしょうか?
感染を避けるために外出自粛は有効な手段ですが、どうしても活動量が減ってしまい、体力や筋力が落ちてしまっている方もいらっしゃると思います。
そこで今回はフレイルについてお話させていただきたいと思います。

フレイルとは英語の “frailty”=“虚弱” を表す言葉から来ています。

その特徴として、次の3つが挙げられます。

①健常と要介護の中間の状態であること
脳梗塞や怪我で急に要介護状態になることもありますが、多くの高齢者は健康な状態から徐々に要介護にいたるとされます。

②可逆的な状態であること
フレイルになっても自分次第で健常な状態に戻ることができるかもしれません。

▲フレイルサポーター養成研修テキストより

③多面的であること
フレイルは、趣味や外出などの「社会参加」、食や口腔の機能からなる「栄養状態」、筋力や体力などの「運動」と3本の柱から考えることが重要とされています。

▲フレイルサポーター養成研修テキストより

フレイルを予防するために、社会参加・栄養・運動の面からご自身の生活を見つめてみてはいかがでしょうか。

まず、社会参加ですが、冒頭でもお話した通り、外出したりお友達とおしゃべりをする機会は減ってしまっていると思います。
フレイルの入り口は“社会とのつながりが失われたとき”とも言われています。
今までと同じ活動ができなくても、時間帯や場所を選んで外出するだけでも社会とのつながりを保つことができます。

▲フレイルサポーター養成研修テキストより

どうしても外出が困難な場合は、ご家族やお友達と電話で話すことも有効です。

つぎに栄養ですが、バランスの良い食事をとることはもちろん、噛む、飲み込むといった口の機能を保つことも大切です。
食材や食事の内容だけではなく、口唇や舌、喉の運動も意識していただくと安全に食事を楽しむことができます。

▲フレイルサポーター養成研修テキストより

最後に運動ですが、以前にご紹介した運動を参考にしていただけると嬉しいです。

「外出制限の中、ご自宅でできる簡単な運動」をご紹介します!

以上のようなことに気を付けて、自粛が終わったらまた楽しく活動再開できるよう、感染対策の徹底とフレイル予防を両立させましょう。
リハビリテーション室でした。

2020年10月29日血友病のリハビリテーション

みなさん、こんにちは。
当院ではさまざまな疾患に対するリハビリを実施していますが、今回はその中から血友病のリハビリを紹介していきます。

早速ですが、みなさん“血友病”をご存じですか?
当院の血液凝固科には、全国の血友病患者さん6,517名(2019年5月現在)の10%を超える908名(2020年9月現在)の患者さんが登録されており、血友病診療ブロック拠点病院の一端を担っています。
ちなみに、血友病には“先天性血友病AまたはB”、“後天性血友病”がありますが、今回は先天性血友病についてお話していきます。

“血友病”とは

出血した際に血液を固める因子に異常があるため血が止まりにくい病気で、基本の治療は、血を固める薬(凝固因子製剤)を注射することです(くわしくはコチラ)。
出血は関節内で起こることが多く、その中でも肘関節・膝関節・足関節の出血が多い傾向にあり、血友病患者さんは関節に不安を抱える方も多く(血友病性関節症)、私たちリハビリスタッフも運動や日常生活動作指導の面から診療に参加しています。

“血友病性関節症”

同じ関節で出血を繰り返すと関節が破壊され、痛みが生じたり、関節の動く範囲(関節可動域)が狭くなったり、筋力低下を引き起こすなどして、関節機能に障害が起きた状態を指します。
出血直後は関節を安静に保つのですが、長期間安静にし過ぎることにより関節機能が低下し、悪循環を招きます。適切な時期にリハビリを始めて、関節機能を維持することが大切です(図1)。

図1.血友病性関節症が生じる経緯

関節可動域が狭くなると、日常生活にさまざまな支障を来たします。
関節が曲がらないことで困ることにどんなものがあるでしょうか。
いくつか例を挙げてみますので、想像してみてくださいね。

肘関節が曲がらない
→食べ物を口へ運ぶことが難しい、洗顔の時に手が顔に届かない、など。

膝関節が曲がらない
→椅子から立ち上がりにくい、しゃがめない、など。

足関節(足首)が曲がらない
→つま先が手前に曲がらない状態になると・・
立った時にかかとが床につかない、つま先歩きになる、階段を降りる動作が不安定になる、など。

血友病性関節症が進行し、日常生活に大きな支障をきたす場合は手術をするケースもあります。状態によりますが、人工関節置換術や滑膜切除術が主な治療となります。その際は手術翌日からリハビリを行います。

また、手術以外でも主治医が必要と判断した場合、外来でのリハビリを行っています。
リハビリでは、日常生活動作に必要な関節可動域の維持・改善、筋力強化を指導したり、歩き方など動作の指導をしたりして、関節に過度な負担をかけないようサポートしています。日常生活に大きな支障がなければ患者さんの生活の質も維持できるため、患者さん一人ひとりの生活背景などをお聞きして必要な指導を行っています。

ここではリハビリに関する内容のみでしたが、当院では医師、看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士など、多職種で患者さんをサポートしています。

以上、血友病リハビリの紹介でした。

2020年9月30日腰の手術前後のリハビリテーション

こんにちは。
今回ご紹介する内容は「腰の手術前後のリハビリテーション」についてです。
当院の整形外科では腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、圧迫骨折等の疾患に対して、手術が行われています。
手術の翌日より体調に応じてリハビリを行い、身体機能の回復を図りながら自宅退院、社会復帰、趣味活動への参加を支援しています。
そこで今回は、当院で行っている腰の術前術後のリハビリの中から、ストレッチや筋力強化、姿勢チェック、動作の改善など、みなさんがご自宅でできるものをご紹介いたします。

以下に注意して、①~⑤までの項目を実際にやってみましょう!

  • 急な痛み・しびれ・違和感が出た際は直ちに運動を中止し、安静にしましょう。
  • 無理な運動は症状の増悪を招く可能性があるため、注意しましょう!
①姿勢チェック

座った姿勢・立った姿勢で背筋が真っすぐか確認します。この時に姿勢が前後左右に歪んでいる場合は関節や筋肉に負担をかける可能性があります。
鏡等を使用して全身の姿勢を観察してみましょう。

  • 前面
    ・両肩の高さはそろってますか?
    ・脊柱(背骨)は左右に傾いてませんか?

  • 側面
    ・頭部の位置は前後に傾いていませんか?
    ・脊柱(背骨)が前後に傾いてませんか? 悪い例:猫背・反り腰
②ストレッチング

股関節周囲の柔軟性改善は腰にかかる負担を軽減させます。
反動をつけずに背筋を真っすぐに保ち、息を吐きながらやってみましょう。

☆殿部(お尻)

  1. 座った姿勢で脚を組みます
  2. 背筋を伸ばしたまま、カラダを前傾します。
  3. 反動つけずに息を吐きながら行います。
  4. 伸びているところで20~30秒キープ×4セット。

☆大腿後面(ももの裏)

  1. 座った姿勢で片脚を前方へ伸ばします。
  2. 手で軽く押しながらカラダを前傾します。
  3. 反動つけずに息を吐きながら行います。
  4. 伸びているところで20~30秒キープ×4セット。

☆大腿前面(ももの前)

  1. 立った姿勢で脚を前後へ開きます。
  2. 背筋を伸ばして前脚に体重をかけていきます。
  3. 後ろ脚のもも前側が伸びている事を確認します。
  4. 伸びているところで20~30秒キープ×4セット。

③筋力強化

体幹・下肢の筋力強化でカラダを安定させます。この時も背筋を真っ直ぐに保ち、ゆっくり運動をしていきましょう!

☆ドローイン(腹筋の運動)

  1. 仰向けになり、両ヒザを立てます。
  2. 鼻から息を大きく吸い、口から息を吐きます。
  3. ゆっくりと長く吐くようにしましょう。
  4. 息を吐きながら下腹部又はヘソを引っ込めるようにします。
  5. 1.~4.を10回~20回×3セット繰り返します。

☆スクワット(もも・お尻の運動)

  1. 椅子の前に脚を肩幅開いて立ちます。
  2. 背筋を伸ばしてゆっくり腰かけるように屈みます。
  3. お尻をつけたら1.の姿勢に戻り、運動を繰り返します。
  4. ゆっくり10回~20回×3セット繰り返します。

☆もも上げ(ももの運動)

  1. 椅子に浅く座り、壁に両手をつきます。
  2. 1.の状態をキープし、左右のもも上げをします。
  3. ゆっくり左右10回~20回×3セット実施します。

④バランス訓練

バランス能力の強化で腰にかかる負担を軽減させます。また、転倒予防にも繋がります。
どこでもできますが、転倒には注意して実施しましょう!

☆片脚立位(片脚立ち)

  1. 立った姿勢で片脚立ちをします。
  2. バランスが悪ければ手すり等を使用してもOK。
  3. 左右10秒~20秒キープ×3セット実施します。
    ※左右の腰の高さ、上半身が傾かないように注意しましょう。

☆タンデム立位

  1. 脚を前後に開いて立ちます。
  2. バランスが悪ければ手すり等を使用してもOK。
  3. 左右入れ替えて10秒~20秒キープ×3セット実施します。

⑤動作チェック

動きの癖を今一度確認しましょう。腰を捻ったり、過剰に曲げたり、反ったりしないようしましょう。
ポイントとなるのは背筋が真っすぐに保つこと!

☆起き上がり動作

☆立ち上がり動作

☆しゃがみこみ動作

最後に

今回は「腰の手術前後のリハビリテーション」についてご紹介いたしました。
症状や経過は人それぞれ異なります。無理のない範囲で意識しつつ、リハビリを継続していきましょう。
以上、リハビリテーション室でした。

2020年8月18日「肺炎」のリハビリで気をつけていること

こんにちは! 内科・外科チームです!

今回は私達が対象としている様々な疾患の中から、『肺炎』で入院した方のリハビリについてご紹介します。

『肺炎』とは、肺の炎症性疾患の総称であり、主に細菌やウイルスなどが気道を介して肺に感染することで発症します。その結果、発熱したり、咳や痰が出たり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ます。

入院中のリハビリでは、医師が『離床』しても良いと判断した場合、ベッドで安静にするのではなく、血圧や自覚症状を確認しながら身体を起こして生活できるよう評価や指導を行います。『離床』とはベッドから離れることであり、座ったり歩いたりすることは、退院に向けたリハビリの一環としてとても大切なことです。

「ベッドがそこにあるからついつい寝てしまう」といった声が入院患者さんからしばしば聞かれますが、実は寝ているその姿勢には呼吸に悪い影響を与える可能性があるのです。

ヒトは寝ていると腹部の臓器が横隔膜を圧迫し、肺が拡がりにくくなります。また、ずっと寝た状態で身体を動かさないと、痰を排出できず気管支が閉塞することで『無気肺』が生じやすくなります。
※無気肺…何らかの原因によって肺の一部もしくは全体に空気が入っていない状態であり呼吸困難感などが生じます。腫瘍などによって気道が塞がれて生じる事が多いですが、それ以外でも生じます。

  • ●寝ていると・・・
  • ●起きていると・・・

※画像はイメージです

無気肺を生じると、肺胞は不衛生な状態となり細菌が増殖しやすくなります。その結果、肺炎の治りが悪くなるのです。

座位や立位になり『離床』することで、腹部臓器が重力によって下がり、横隔膜は圧迫から開放されます。その結果、胸郭が拡がりやすくなり換気量が増え、また痰も排出しやすくなります。

また『離床』は、筋力低下の予防や、起立性低血圧などの循環動態の改善、環境の変化で起きやすい『せん妄』を予防するというメリットもあります。
せん妄・・・病気や入院による環境や生活リズムの変化などで頭が混乱した状態。時間や場所がわからない、攻撃的な言動や独り言を話す、注意力や思考力が低下する、などさまざまな症状があります。うつ病や認知症と間違われることもあります。入院時のリハビリテーションには筋力維持だけでなく、規則正しい生活リズムを保つ効果があります。

このようなメリットを患者さんにお伝えしながら、入院中になるべく筋力低下を予防し、呼吸状態の悪化がないよう評価、指導していくことが私達リハビリスタッフの役目の一つです!

2020年7月15日完全オーダーメイド! スプリント療法

こんにちは! 作業療法士(OT)チームです!

今回は、私達OTが専門的に行っているスプリント療法についてご紹介したいと思います。
スプリントとは簡単に説明すると、患部を固定するための“装具”のことです。
荻窪病院は手外科センターが有名で、都内でも屈指の症例数・手術件数を誇っています。
そんな手のケガや病気を持った患者さん一人ひとりに対して、私達はオーダーメイドでスプリントを作成しています。
そこで普段私達が作成しているスプリントをいくつかご紹介したいと思います。

☆コックアップスプリント☆(手関節固定装具)


このスプリントは手の骨折や手根管症候群(手の神経の圧迫)など、手関節をしっかりと固定する必要がある患者さんに作成します。

☆サムスパイカスプリント☆(短対立装具)


このスプリントは母指CM関節症(親指の付け根の変形性関節症)や母指MP関節靭帯損傷など、母指をしっかりと固定する必要がある患者さんに作成します。

☆スタックスプリント☆(DIP関節伸展位固定装具)


このスプリントは突き指などで発症する末節骨骨折(指先の骨折)や腱損傷に対して使用する装具です。
他の装具と比べて約8週間24時間固定が必要となることが多く、精密な作成と入念な指導が不可欠となります。

☆作成風景☆
完全オーダーメイドです♪ 患者さんの手に沿う素材を使用しているため、ピッタリのものができます。スプリントが出来上がったら、患者さんに装着方法や生活上の細かな注意について説明することも大事な仕事です。また患者さんには定期的に来院して頂き、装具の修正や掃除なども行います。

手のケガや病気は、患者様の普段の生活に直接支障をきたします。そんな方々の力に少しでもなりたいと私たちOTは考えております!
より性能・見た目の良いスプリント作成のために、日々努力を積み重ねております。
(※装具作成には医師の診察・リハビリ処方が必要となります。あらかじめご注意ください)。

以上、リハビリテーション室でした。

2020年6月25日心臓リハビリテーションのご紹介

こんにちは! 心臓リハビリチームです!
今回は心臓リハビリテーションについてご紹介させて頂きます。

当院の心臓リハビリチームは、心筋梗塞や狭心症、心不全、弁膜症、大動脈解離、下肢閉塞動脈硬化症など循環器内科・心臓血管外科にご入院中の患者さんのリハビリを行っています。
投薬治療中やカテーテル治療後、手術後もリハビリをしています。
リハビリする場所は、集中治療室(ICU)や一般病棟、リハビリ室にて実施しています。

速やかで安全な社会復帰と再発防止を目的に行う心臓リハビリテーションは、患者さんの状態の把握がとても大切で、医師や看護師だけでなく他の職種とも連携し、情報共有しながらプログラムを検討しています。
どのくらい動いてよいのか、退院後の生活や運動はどうしたらよいのか、などの質問にリハビリを通してお答えしています。

ここで、実際にどんな物品を使ってリハビリしているのか、一部ご紹介させて頂きます。

まずは持ち運べる心電図モニター!

こちらの小さいモニターは、歩きながらでも心電図の情報が見られるようになっています。
運動中に不整脈がないか、心拍数の速さはどうか等の確認ができるので、リスク管理に必須アイテムです。

そしてエルゴメータ。

このエルゴメータ血圧や心拍を見ながら有酸素運動をしたり、運動負荷を決めたりしています。
当院では2019年9月より心臓リハビリテーション外来を始めており、退院した後もこのエルゴメータを使用して、定期的に有酸素運動を実施しながら日常生活のアドバイスをしております。

以上、簡単ですがご紹介とさせて頂きました。
次回は作業療法士による「スプリント療法」についてご紹介します!

2020年5月28日カラダを動かしましょう!【ヒットトレーニング編】

こんにちは。
今月も引き続き、運動不足解消のため自宅でもできるトレーニングを紹介します。
今回、ご紹介するトレーニングは「ヒットトレーニング」です。

「ヒットトレーニング(HIIT)」はHigh Intensity Interval Trainingの略で、有酸素性能力と無酸素性能力の両方へ最大負荷をかけ、短時間で行うトレーニング。
日頃運動されている方、アスリートの方にオススメなトレーニングになります。

トレーニング効果
  • 運動不足の解消
  • 基礎代謝の向上
  • 全身持久力の向上
トレーニング前の注意点
  • トレーニング前は準備体操、トレーニング後はストレッチ等を念入りに実施してください。
  • こまめな水分補給を行ってください。
  • カラダのコンディションが良くないときは実施しないでください。
  • 循環器、呼吸器、整形外科的に不安のある方は実施しないでください。
方法
  • ①下記のトレーニング種目から好きな種目を 3つ 選んでください。
  • ②《選択した3つの運動をそれぞれ 20秒間運動 → 10秒間休憩 = 1セット 》× 2周 実施します。
  • ③どの種目も 全力 で行うことがポイントです。

トレーニング種目

1.ジャンプランジ

  1. 姿勢を正し、両足を前後に開き、両ヒザを曲げます。
  2. 後ろのヒザを床の方向へ下げます。
  3. 下げた姿勢から素早く真上へ高くジャンプします。
  4. 空中で足の位置を前後入れ替えます。
  5. 足を前後に入れ替えた姿勢で着地します。
  6. 以上の動作を繰り返します。

2.バービージャンプ

  1. しゃがんだ姿勢になり、両手を床につけます。
  2. 足を後ろへ伸ばし腕立て伏せの姿勢となります。
  3. 1の姿勢へ戻ります。
  4. 真上へ高くジャンプします。
  5. 1~4の動作を繰り返します。

3.スクワットジャンプ

  1. 姿勢を正し、足幅は肩幅程度に開いて立ちます。
  2. しゃがみこみ、両手を床につけます。(つま先と膝が同じ方向を向くようにしましょう。)
  3. 真上へ高くジャンプします。
  4. 2~3を繰り返します。

4.縄跳び

  1. 両足飛びで出来る限り早く飛びます。

5.シッティングスクワット

  1. 椅子を準備します
  2. 姿勢を正し、足幅は肩幅程度に開いて、椅子の前に立ちます。
  3. イスに座るようにしゃがみます。(つま先と膝が同じ方向を向くようにしましょう。)
  4. 2~3を繰り返します。

6.マウンテン・クライマー

  1. 腕立て伏せの姿勢になります。
  2. 1の姿勢をキープしながら両足の足踏みをできる限り早く行います。
最後に

今回は運動強度の高いトレーニングをご紹介いたしました。
紹介したトレーニング以外にも多くの方法がありますので、自分のできるトレーニング種目を選択してください。
ちなみに、トレーニング後は栄養補給と睡眠をしっかり取りましょう。

以上、リハビリテーション室でした。

2020年4月30日リハビリテーション室ブログ、開始しました。
第1回目は「外出制限の中、ご自宅でできる簡単な運動」をご紹介します!

みなさんこんにちは。
リハビリテーション室です。
この度、私達が取り組んでいる事や疾病に関する事、最新の医学的情報などを発信していけたらと思い、ブログを開設いたしました。


▲昨年夏に移転し開放感のあるリハビリテーション室

昨今の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言を受け、様々な活動が自粛を余儀なくされ、不安な日々を過ごされている方が多いのではないでしょうか。
こんな時だからこそ、私達リハビリテーション室では専門職としてできることを発信していけたらと思っています。

現在、リハビリテーション室では感染予防対策として、皆様に入室時の体温測定と手指消毒をお願いしております。治療台、器具などは使用ごとに消毒を行っております。皆様に安心して、気持ちよくリハビリテーション室をご利用頂けるように気をつけてまいります。


▲スタッフももちろんマスク着用、手指消毒の上、患者さんと接しています

また、外出自粛が続き、身体を動かす機会が減って気持ちもふさぎ込みがちかと思います。
そこで今回は、心と体のリフレッシュになるような、ご自宅でできる簡単な運動をご紹介したいと思います。
院内感染予防のため、スタッフもマスクをして撮影しております。ご了承くださいませ。

運動を行う際は以下の4点に注意してください。

  1. ご自分の体調に合わせて、できるものを選んでください。
  2. 1回に行う目標回数を記載してありますが、状態に応じて増減してください。
  3. 痛みが出る場合は中止してください。
  4. バランスを崩して転ばないよう、必要に応じて椅子などにつかまってください。
では、実際にやってみましょう!

1.つま先上げの運動

方法
椅子に浅めに腰かけて足を少し前に出した姿勢でスタートです。
かかとを床に着けたまま、左右同時につま先を上げ下げします。
すねに力が入っていることを意識してください。
回数:1回につき10~20回程度

2.かかと上げの運動

方法
椅子に浅めに腰かけて、つま先を床に着けたままかかとを上げ下げします。
左右同時にかかとをしっかり持ち上げましょう。
ふくらはぎに力が入ります。
回数:1回につき10~20回程度
*立ってできる方は、椅子の背につかまりながらかかと上げをしてみましょう。

3.ひざを伸ばす運動

方法
椅子に深く腰かけて、足を浮かせながらひざを伸ばします。
ひざをしっかり伸ばした後、ゆっくり元に戻します。
ももが椅子から持ち上がらないこと、勢いをつけないことを意識して、左右別々に行いましょう。
ももの前の筋肉を使います。
回数:1回につき10~20回程度

4.椅子からの立ち上がり

【両足バージョン】
方法
椅子に座り、両手を胸の前で交差させます。
手の力を使わずに立ってみましょう。
回数:1回につき10回程度

【片足バージョン】
方法
椅子に座り両手を胸の前で交差させ、片足を浮かせます。
片足を浮かせたまま立ち上がってみましょう。
回数:1回につき5~10回程度

*両足/片足バージョンともに椅子の高さが高いほど立ち上がりやすく、低いほど立ち上がりが難しくなります。
手を使わずに立ち上がることが難しい場合は、椅子の縁に手をついて立ってみましょう。
片足バージョンはバランスを崩しやすく、転倒のリスクが高くなりますので要注意です!
<ワンポイント>
椅子に浅く腰かけて、支えとなる足を少し後ろへ引くと立ち上がりやすくなります。
日々の立ち上がり動作にも応用できますので、ぜひやってみてくださいね。

5.片足立ち

方法:椅子の背につかまって片足で立ちます。
グラグラしないようにおなかやおしりにも力を入れましょう。
足の裏全体で体を支えましょう。
足の指が浮いたり、小指側ばかりに体重がかかったりしないように意識してみてください。
回数:10~30秒保持を左右各3~5回程度

*可能な方は椅子につかまらずにやってみましょう。転倒には注意してくださいね。

5つの運動すべてを一度に続けて行う必要はありません。
その時々で無理なくできる運動を選んで行ってみてください。
つま先上げやかかと上げの運動はテレビを観ながらでもできますよ。

また、東京都理学療法士協会のホームページにも「自宅でできるリハビリ」が掲載されております。
よろしければご覧ください。

公益社団法人 東京都理学療法士協会
URL:http://www.pttokyo.net/info/jitaku

力をつけるためには、運動だけでなくバランスの良い食生活を送ることやしっかり睡眠をとることも大切です。
ストレスのかかる日々ですが、みなさんの生活に運動を取り入れて少しでも気分転換につながれば幸いです。
リハビリテーション室でした。


▲天気の良い日はスカイツリーが望めます

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