眼瞼下垂(がんけんかすい)
上まぶた(眼瞼)が十分に開かなくなったために、見える範囲、主に上の視野が狭くなった状態のことを言います。瞼を挙上させる筋肉(眼瞼挙筋)に原因がある場合と、筋肉の力はあるものの皮膚が弛緩して下垂している場合があります。原因としては、先天性、年齢による変化(眼瞼挙筋腱のゆるみ)、全身の病気や顔面神経の障害から来る眼瞼挙筋の麻痺、時に顔面の筋肉のけいれんで瞼が閉じてしまうこと(眼瞼痙攣)を眼瞼下垂と勘違いしてしまうこともあります。原因を検索する必要がありますので、状態によって血液検査や頭部のMRIやCTの検査をお勧めすることがあります。時には神経内科受診が必要なこともあります。
原因が判明して、治療法として手術しかない場合には、眼科や形成外科で瞼の手術を行います。
眼瞼下垂症手術について
当科では、うわまぶたの皮膚を切開して余分な皮膚を取り除きます。筋肉に問題がある場合にはその後、眼瞼挙筋(主に挙筋腱膜)を短縮してうわまぶたがまた上がるようにします。
手術は通常、局所麻酔で行い、筋肉を手術するときには手術中に目の開き具合を確認します。
術後5~7日後に皮膚縫合の抜糸を行います。
手術後の状態
まぶたに注射で麻酔薬を注入しますのでその分ふくれますし、皮膚や筋肉を切るだけでも通常のケガでできた傷の様に腫れますので、手術後はまぶたが腫れます。まぶたの腫脹(はれ)は1~3週間で消失します。また、手術中に出血はなるべく止血しますが、それでも皮下出血が眼瞼周囲に出現します。2~4週間で紫色から茶色に変色していき、その後さらに2~3週間で消失します。他に、しばらくはまばたきの時にひきつれ感を感じることもあります。また、瞼が開くようになると顔の印象が変わります。
年齢とともに、まぶたはまた徐々に下がって、眼瞼下垂が再発することもあります。